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HQ商社、営業日誌。

第3章 ep Toru Oikawa





蛍ちゃんは全て話した。
話をしたことは、かなりヤバイ内容も含まれてはいたけれど…
でも、話す雰囲気から感じるけれど全部本当のこと。

素直に話してくれたみたいだし…
たまには先輩風吹かせておこうか。

ごとり、とピッチャーを置くと、俺は蛍ちゃんに向き合う。

「ねえ、蛍ちゃん?」

「ちゃん付けはやめてください。」




「蛍ちゃんはさ、寂しいんじゃないかな。」

そう言えば蛍ちゃんは酔いで赤く染まる目元をこちらに向ける。

「器の部分…見てくれじゃなくて中身を見て欲しいんじゃない?

俺にはそう聞こえるよ?
着飾った上っ面じゃなく、内側まで踏み込んで欲しい。







だから内側まで踏み込んでくれたあの子…梢ちゃんは手放したくなかったんじゃない?」


そう。
ただ甘えたいだけなんだ。蛍ちゃんは。

自分にある内側のどろどろした醜い部分まで愛してくれたあの子に離れて行ってほしくなかった。
信じて、信じられる人が欲しかったんだ。


だけど、あの子は蛍ちゃんを選ばなかった。




「…そう…なのかもしれません。
今まで汚い大人のはけ口としてしか生きてこなかったので…


でも…他人に甘えるとか…無理です。」


ぽつ、ぽつと話した蛍ちゃんはピッチャーに入っていた残り少ないビールを一気に煽りお代わりを頼んだ。



あの子…梢ちゃんのような、蛍ちゃんの内側まで見てくれるような子が現れて欲しい。

そう願わずにはいられなかった。






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