第3章 ep Toru Oikawa
着いた先は俺の行きつけのカウンターのみの居酒屋。
端の方の席に無理やり押し込み、まずは皮を頼む。
ついでにビールも2人分。
「…で?持ってかれちゃったわけだ、梢ちゃん。もう1人の狼に。」
俺がそう話しだせば、彼…蛍ちゃんはこくりと頷く。
その顔は苦しそうで…
すぐに来たビールのジョッキを蛍ちゃんの目の前に置くとぽそり、と呟いた。
「酒の力でもいいから吐き出してみれば?少しは楽になるかもよ?」
俺がそう言うと、蛍ちゃんはジョッキのビールを喉を鳴らして一気に飲む。
ビールを飲み干した蛍ちゃんはもう1杯ビールを頼む。
ジョッキにビールが注がれている時、蛍ちゃんが俺を呼ぶ。
「今から言うことは、僕が酔っ払って言った戯言です。」
ごとり。
置かれたビールジョッキが音を奏でる。
ぱ、と顔を上げた蛍ちゃんは今までのことを少しずつ、少しずつ話し始めた。
過去のこと
そして、彼女とのことを