第2章 仕事の後のXmas night。
「梢…?大丈夫?」
力の抜けそうな足を必死で動かしなんとかホームのベンチへたどり着いた私は、倒れるようにベンチに座った。
きっといま、私はとろけた顔をしているだろう。
そんな顔、リエーフくんには見せられない。
「ねえ、梢?」
俯向く私にリエーフくんは声をかける。
『なに…?』
返事をした私に、リエーフくんはとんでもない言葉をかけた。
「電車の中であんなに濡らして気持ちよかった?」
…え?
リエーフくんを見れば、にやり、と笑い街灯でひかる指をぺろりと舐めた。
「梢のせいで俺の指ふやふや。」
怖くて、びっくりしたあの数分は、すべてリエーフくんの仕業だったってこと?
私は力の入らない体を無理やり立たせ、改札までの階段を無言で降り始めた。
後ろからリエーフくんが追ってくる。
「うそっ!ごめん梢っ!俺だって気づいてると思って!」
怖かった。
でも、それ以上に感じてしまったことが恥ずかしくて。
残り数段のところでリエーフくんが前に立ちはだかる。
1番下の段にいるはずのリエーフくんと目線が一緒でリエーフくんの身長の高さを改めて感じてしまう。
「ごめん…」
泣きそうなリエーフくん。
痴漢だと思っていたリエーフくんの手に感じてしまったのがどうしても恥ずかしくてふいと目線を外せばリエーフくんはしょぼーんと肩を落とす。
『リエーフ…くん。』
小さな声で名前を呼ぶ。
『あの…ね?』
そっと体を近くに寄せ、直接耳に届ける。
『身体…熱いの…お願い…』
がばりっ!
私の言葉を聞いたリエーフくんは勢いよく私に抱きつく。
「梢っ!」
『リエーフくんっ!まってっ!ここ駅だからっ!』
「そんなの知らないっ!梢が悪いんだ!」
駅の階段下。
エレベーター降り場もすぐ近くだし、リエーフくんのこの容姿、身長で目立たないわけがない。
ばたばた暴れるのも体力を使うからそのままリエーフくんに身体を預ける。
「梢が可愛すぎてここでSEXしたい。」
私にしか聞こえない声でぽそりと言われ、さらに顔を真っ赤にさせたのはここだけの話。