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僕だけが知っているお兄ちゃん 【R18】

第11章 もう1度振り向いて


俊side

和也さん凄い。
すっごい速い!
あんなに広がってた1位との間がどんどん縮まっていく。
残りあと1周。
先頭を走ってる選手はだいぶ疲れててスピードが落ちてる。
それに比べて和也さんは全くスピードを落とさず、残り1mまで近づいた。
ほんとに速い。
かっこいい。

「和也さん!あと少し!!」

そして___

和也さんがわずか前に出てゴールテープを切った。

「よっしゃぁぁ!」

青いハチマキをした人達が一斉に和也さんの元に走る。
和也さんは僕の方を見てお守りを掲げた。

嬉しい。
役に立てて良かった。

和也さんの笑顔にドキドキする。

1位か……すごい……

和也さんは走って観客席の方に来た。

「俊くん!見て「和也!」っ何!?」

和也さんが僕に話しかけようとして兄ちゃんが割り込む。

「お前あれって本気で走った?いつもよりフォーム最悪。腕の振りも悪いし、足の上げ方雑。運動会だからって手抜かないでよ。」

「はぁ!?抜いてねぇよ!」

ダメ出し……

暫くの沈黙。

「あーもう!ごめんって!俺が悪かった!けど1位だし結果オーライだろ?な?俊くん?」

「う、うん!すっごい良かったと思うよ!兄ちゃんも言い過ぎだよ!」

「う……ごめん……空気悪くした。」

「よし!結城!戻らねぇと!」

「えー……俺ここにいるー……」

「何言ってんだよ……流石に怒られるだろ。」

和也さんが兄ちゃんの腕を引き連れていく。
兄ちゃんは引きずられてスタンドに戻っていく。

「和也先輩!その……」

女の人が和也さんに近づく。

「お、由衣!どした?」

「あのー……その……」

「あ、俺邪魔かな?」

そう言って兄ちゃんがまたこちらに近づいてくる。

「あ、結城!何やってんだよ!ほら行くぞ。」

「チッ……」

兄ちゃんが舌打ちをする。

「ごめん、由衣。後ででいいかな?コイツ連れてくから。」

「い、いえ!やっぱいいです!失礼しました!」

その人は走って戻って行った。
何だろ……

「あーぁ、由衣可愛そー。和也くん最低ー。」

「何言ってんだよ、結城。てか自分で歩け。」

「疲れたから無理。」

「ガキかよ(笑)」
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