第11章 もう1度振り向いて
和也side
俺は走る前に準備体操をした。
運動会とは言えどもやっぱり負けたくねぇしそれに……
俊君にいいとこ見せたい。
最近、俊くんのことが気になっている。
結城が入院して泊まりに行っていたときからずっとだ。
結城の弟だし、それに小学生。
駄目なのは分かってるけど、好きなんだ。
結城に騎馬戦に出場して振り向いてもらおうって言ったものの……正直何で余計なことしたんだろって自分で後悔してる。
俺だって振り向いて欲しい。
けど、無理だろうな。
お守りもらった時は本当に嬉しかった。
俺にもチャンスあるんじゃ?って思った。
そんなはずねぇよな。
俊くんには結城がいるんだ。
結城しか見えてねぇだろうな。
だったらせめていいとこ見せたい。
それだけでいい。
これは実らない恋だ。
スタートの合図のピストル音が鳴る。
その瞬間、気持ちを入れ替える。
俺らのチームは現在2位。
1位との間が広がっていく。
俺はアンカーだ。
結城の次に速いからと任せられた。
次が俺の番か。
「和也さーん!頑張れー!」
俊くんの声。
目の前には俊くんが叫んでいる姿がある。
思わず顔が熱くなる。
隣にはかなり怖い顔をした結城がいる。
嫉妬か?
まじでその顔怖ぇから。
「和也!頼む!」
「おう!」
2位のままバトンが渡る。
アンカーは2週。
絶対ぇ抜いてやる。
見ててね俊くん___