第10章 裏の顔
俊side
会話がない。
凄く気まずい雰囲気になってる。
何か言わないと……
「に、兄ちゃん……」
「……」
「兄ちゃん!?」
「あ?あぁ悪い……」
気にしてるのかな?
「その……兄ちゃんのせいじゃないよ。僕が勝手に体調悪くなってるだけ……それに兄ちゃんの言う通り先生に近づかなかったら良かったんだ。」
「……いや、俺にも原因はある。ごめん。……母さんが家で待ってる。早く帰ろう。」
「うん。」
母さんが……?
家にいるの?
兄ちゃんはさっきから足を引きずっている。
きっと走ったから痛めたんだ。
「兄ちゃん、僕歩けるから……降ろして……」
「そうか?」
「うん。だって足痛いんでしょ?隠そうとしてたの全然隠せてないから。」
「ごめん……ちょっとやっちまった……」
「いいよ。謝らなくて。」
僕はゆっくり兄ちゃんの隣を歩いた。