第10章 裏の顔
結城side
学校に着き、陸上の所に向かう。
俺が練習をする訳ではない。
ドクターストップかかってるし。
怪我で運動は出来ない。
「お、結城!おはよう!」
「うん。朝練お疲れ。」
和也が部活着を着て汗ダクになっている。
「今日はどう?調子いい?」
「ん、まぁな。タイムもいつもより出てる。フォーム見ててくれね?」
「おぉ。」
俺は陸上が出来なくなってからはこうやって手伝いに来ている。
後輩に指導したり、和也はいつも俺を頼る。
先輩だってそうだ。
2週間後が試合になっている今、部活のメンバーは焦っている。
先輩達はその試合で最後だ。
そりゃあ、いい結果を出したいに決まっている。
まぁ、和也が上取るだろうな。
スタート合図の空砲と共に和也が走り出す。
かなりスタートダッシュが良くなっている。
ゴールし戻ってくる。
隣には由衣がいる。
和也から目が離せないんだろう。
鈍感な和也は気づいてない。
気づいてやれよな……
「ハァ……ハァ……どうだった?」
「そうだな、大分良くなってるんじゃないか?けどもう少し手の力抜け。手に全部の力が集中している。足に集中したらどうだ?」
「おう!やっぱお前すげぇわ!ありがとうな。」
「そろそろ終わらねぇとホームルームに遅れるぞ。」
俺と和也は急いで教室に向かった。