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僕だけが知っているお兄ちゃん 【R18】

第9章 「母さん」と呼ばない


千代side

その日も「千代」になって遊んでいた。
私の中には「実代」という存在を忘れていた。
むしろ姉が「実代」のようだった。

「あ、猫!あのままじゃ引かれちゃう!」

姉さんは走ってトラックにぶち当たってしまった。
猫は無事。
けど、姉さんは血だらけ……

「っ!!?千代?あんたは無事なの?!」

「え……」

あ、そうだ……今の私は千代……

「うん。大丈夫だよ。」

「よかったぁ、あんたじゃなくて……」

え?実代なら死んでもいいの?
千代は生きてていいの?
実代はいらないの?

それから私は「実代」でなく「千代」として生きることにした。
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