第9章 「母さん」と呼ばない
結城side
「それって母さんは『千代』じゃなくて『実代』ってこと?」
「そうよ……今まで隠しててごめんなさい。」
「……なんだよ……それ……」
10年以上も嘘を?
そんなの……親としてどうなんだよ。
「今思えば俊には私以上に酷いことをしていたのね……何やってんだろ私……」
「本当にそうだよな……」
「っ……ごめんなさい。ほんとに悪いと思ってる。また俊と結城と3人で楽しく過ごしたいわ。けど、こんなんじゃ駄目よね。」
「……まだ、間に合うんじゃない?アンタを許した訳じゃない。でも、俊には必要な存在だから。だからさ、せめて、これからは母親としていてくれないかな?」
「結城……いいの?」
「うん。俊のためだし。頼むよ、『母さん』?」
「うん……ありがとう。」