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僕だけが知っているお兄ちゃん 【R18】

第9章 「母さん」と呼ばない


結城side

「俊!」

俊が2階に駆け上がってしまった。

「結城……お願い、また『母さん』って呼んで?」

「は?何言ってんの?実の息子傷つけておいて……そもそも何で俊だけ嫌うんだよ!」

「それは………」

黙り込む。
意味分かんねぇ……

「もういい……俊の手当てしねぇと……」

俺は2階に上がり部屋に入った。

「俊……手……」

ベッドに上に座っていた。
よく見ると、傷口をさらに鉛筆で傷つけている。
出血は酷くなっていて、止まる気配がない。

「何やってんだよ!」

パシッ!

俊の腕を払い除ける。

「お前、馬鹿か?!」

「……痛くない……痛くない!こんな傷!それよりも……心臓が痛い……苦しい……息が出来ないくらい……苦しい!」

「俊っ!」

「顔も見たくない!出ていってよ!」

「ごめん!俊!」

強く抱きしめるが暴れる。

「やだ!離して!苦しいから!」

「ごめん!ごめん!」

「うっ……ぐすっ……」

俺のせいで……こんな……

「兄ちゃん……苦しい……息が出来ない……どうしよ……」

俺は俊の背中を擦り続ける。
少しでも落ち着けるように……

「大丈夫だ……ゆっくり深呼吸しろ……」

落ち着いてきたか?
呼吸が整ってきた。
俊の顔を除くと……
涙を流しながら眠っていた。

何だよ……俺が傷つけてんじゃねぇか……
最低なのは俺だ……
俊の気持ちを考えず、勝手にあんな言葉……

俊の手を手当てし、再び下に降りた。
”母さん”はソファに座り頭を抱えていた。

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