第5章 悪いのは……
結城side
「結城ー、災難だったな!」
「何やってんだよ!無理すんなって!」
陸上部の仲間が見舞いに来てくれていた。
「弟が危なかったからよ……」
皆は俺が陸上を出来なくなったのを知っていた。
「先輩……これ……みんなで書いたんですけど……」
マネージャーの由衣。
まだ1年生で慣れないこともあるはずなのにかなり頑張ってくれる。
色紙に皆からメッセージが書いてあった。
「由衣、ありがとな。すっげぇ嬉しい!」
「い、いえ!////」
「お?お前らいい感じ?(笑)」
「な訳ねぇだろ?」
俺が好きなのは俊だけだ!
それに由衣は和也の事が好きだ。
見てれば分かる。
態度が変わる。
「あ!そう言えば!結城〜麻梨愛ちゃんからこれ貰ってきたぞ〜(笑)このモテ男!」
「はぁ……あぁ……ありがと……」
正直迷惑だ。
ずっと付きまとわれるのは好きじゃない。
好きでもない奴にこんな事されても嬉しくなんかない……
はぁ……早く来ねぇかな……
ガラガラ……
「お!お前らもいたのか!」
「和也!……てそれ誰?」
「小学生?」
「俊!!」
「兄ちゃん!」
やっと来てくれた!
あーあ由衣は全く喋らないで俯いてるし……
「弟!?……へぇ……似てねぇな……」
「はーい、じゃお前ら帰ろうなー」
和也が気をきかせて皆を外に出す。
ナイス!和也!
皆が出ていって俊は俺に抱きついた。
あー……このまま死にたい……
「兄ちゃん!」
「俊〜!会いたかった!」
和也はニヤニヤしながら見ていた。
「何でいんだよ!」
「え?いいじゃん別に(笑)」
……あれ……なんで俊長袖着てんだ?
胸騒ぎがする。
「和也……ちょっと出ててくんない?」
「……おう……わかった。」
和也が出ていったのを確認する。
「俊、服脱げ……」
「……え?」
「いいから早く。」
「……やだ……」
否定したが、無理矢理腕を捲り上げた。
そこに見えたのは火傷の跡……