第5章 悪いのは……
結城side
俊は慌てて腕を隠した。
「俊……」
「な、何も無いよ!」
丸い火傷の跡……タバコか?
誰に?
母さんはタバコを吸わない。
和也が?
いや、アイツはそんな事はしない。
「俊、誰だ?」
「うっ……」
「……母さん?」
俊は俯き両手で体を包む。
図星か……
「よく見せて。」
嫌々ながら見せる。
かなり酷い。
何度も押し当てられていた。
流石に母親でもこれは許せねぇ。
「母さん……何やってんだよ……」
「違うよ!母さんは悪くない!悪いのはぼ「黙ってろ!」」ビクッ!
思わず怒鳴ってしまった。
俊は涙目になっていた。
「ご、ごめん!」
「……僕が悪いんだよ。」
俊は自分に全て押し付ける。
違う、こうなったのは俊のせいじゃない。
「俊、よく聞け。お前は悪くねぇ。俺が好きで助けたんだ。それにあの男のせいでこうなったんだ。」
泣き出しそうな俊の頭を撫でる。
「だから自分のせいだと言わないでくれ。」
俊は再び俺に抱きつく。
「うん……」
俊に外に出て和也を呼ぶように言った。
「……何かあったのか?」
「うーん……俊が……母さんから暴力受けてるみたいでさ。かなり酷い火傷の跡があった。たぶんタバコだろう。」
「暴力……?」
「……母さんを止めねぇと……和也、俊のこと頼む。たぶん、かなりストレス抱えてるから。俺も早く歩けるようになって帰るから。」
「おう、任せとけ!」
「あ!俊に手出すなよ!出したら殺す……」
「分かってるって!その目止めろ!まじで怖いから!」
「……正直どう思った?」
「俊くん?……正直……可愛い……けど、まぁ小学生だし、お前の弟でもあるしな。手なんか出さねぇよ。」
「……そうか。やっぱ信じて良かった。」
「安心して、早く帰ってこいよ!待ってるからな!」
「おう!」