第5章 悪いのは……
俊side
気がつくともう外は暗くなり始めていた。
食欲も無く昼ご飯も食べなかった。
けど、流石に少しお腹が減ってきた。
ピンポーン……
あ、チャイムが鳴った。
母さんが出てくれるよね……
ピンポーン……
あれ?
そう言えば物音全くしない。
僕は出ようと1階に下りた。
母さんはいなくなっていた。
緊急で仕事に行かないといけなくなったのかな?
ピンポーン……
まだ鳴ってる……
兄ちゃんからはあまり開けるなってよく言われてたけど……
もう3回も鳴ってるし……
大事なことかもしれない。
僕は玄関の扉を少しだけ開けた。
ガチャ……
「はい……」
「おお!やっと出た!俊くんだよね!」
髪の毛は少し跳ねていて茶髪。
身長は高く兄ちゃんと同じくらい。
歳はたぶんかなり若い。
高校生かな?
でも知らない人……
なのに僕の名前を知ってる。
誰?
僕は何となく自分の中の危険センサーがなった気がした。
「……人違いです。」
「え?!ちょっ!ちょっと待ったぁ!」
僕は凄い勢いで扉を閉めたけど、その人は足を挟んだ。
「いっでぇぇぇ!」
「あ!ごめんなさい!っ!」
しまった!つい!
男の人はチャンスだとばかりに中に入ってきた。
「誰なんですか?!」
「ちょ、そんな慌てんなって!俺は結城の友達だ!」
え?兄ちゃんの友達?
初めて知った。
兄ちゃん友達のこととか全然話してくれないから。
は!ちょっと待って!
僕兄ちゃんの友達に悪いこと……
「わぁぁぁ!ごめんなさぁぁぁぁい!!」
「え?……えぇ!?」
僕は床に膝を付き何度も頭を床にぶつけ謝った。