第5章 悪いのは……
結城side
俊が病院を出てすぐに母さんが病院に来た。
「結城!!」
急いで来たのだろう息を切らして入ってきた。
手には紙袋を持っていた。
中はおそらく俺の着替えとかだろう。
「大丈夫なの?!なんでこんな事に……」
「大丈夫だよ。少し痛むけど。」
「先生はなんて言ってるの?」
「あー、激しい運動はもう出来ないだろうって……陸上も辞めろって言われたよ。」
「そんな……」
母さんはショックを隠せないでいた。
「それから、しばらくの間は入院だって。歩けるようになるまでここにいないと。」
「どのくらいかかるの?」
「先生は1ヶ月くらいだろうって。」
その瞬間、ふと思った。
俺がいない1ヶ月の間は俊は1人ってことだよな……
母さんもなかなか帰れないし……
飯とか……
「母さん、1ヶ月間俊がひとりになるんだけど家……帰れないよね……」
「あー……その事ね……今までよりは帰るようにするから……」
「ほんとに!?じゃあ、俊の心配は……」
「どうして助けたの?」
「え?」
表情が暗くなっていた。
「助けに行かなかったらあなたもこんな事にならなかったはず。だいたい、あの子がちゃんとしてないからこういう事に!あーもう!イライラしてきた!母さんもう帰るね!少し寝たいし!」
「母さん!?何言ってんの!?俊は悪くない!」
「結城!あんたもあの子に構いすぎよ!もう少し考えなさい!」
「はぁ!?弟だからだろ?!」
「確かにそうよ!けどね、あの子のせいであなたが危険な目に会うの!」
母さんはそう言って病室を出ていった。
あんなにイライラしてるのは初めて見た。
それに……俊のせい……
違う!俊は悪くねぇんだよ……
母さん……お願いだから俊を本当の息子として見てやってくれよ……
あいつは何も悪くねぇんだから……
俊も努力してんだよ……認めてもらおうと……