• テキストサイズ

僕だけが知っているお兄ちゃん 【R18】

第5章 悪いのは……


結城side

目が覚めると病室にいた。

「っ!!」

足首に痛みが走る。
右足が包帯で巻かれていた。
俊は俺の腹の上で眠っていた。
時刻は12時。
俊を家に帰らせようにもこの時間じゃ危険だ。

とりあえず医者を呼ぼうとナースコールを押した。

「目が覚めたんですね。足の痛みはどうですか?」

俊や周りの患者を気遣っているのだろう、小声で話していた。

「まだ、痛いです。あの、足って……」

「あ、先生を呼んできます。ちょっと待っててください。」

「分かりました。」

俺は俊の寝顔を見て待っていた。
疲れているのだろう。
頭を撫でても起きようとしない。

「調子はどうかな?」

「あ、こんばんは。まだ痛くて。」

「そうか、しばらくしたら治るから。あと、足の状況を説明しとくね。」

「はい。」

「まず、トラックの下敷きになっていたから足の骨が数ヶ所折れていた。そして、アキレス腱がバッサリ……切られてた。今は手術して何とかなってるけど、これ以上は激しい運動は出来ない。」

「え……じゃあ……陸上も……」

声が震える。
こういう事はあまり無い。
久しぶりだ。

「残念だけど……」

「……そんな……」

「ご両親は?」

「母は仕事で……そろそろ帰ってくると思いますが。父は幼い頃事故で……」

「そうか……」

「母には自分から連絡します。あと、その……弟になんか布団とかお願いできますか?これじゃコイツもゆっくり寝れないと思うんで……」

「うん、私達の休憩室を貸すよ。」

「ありがとうございます。」

/ 196ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp