第5章 悪いのは……
結城side
目が覚めると病室にいた。
「っ!!」
足首に痛みが走る。
右足が包帯で巻かれていた。
俊は俺の腹の上で眠っていた。
時刻は12時。
俊を家に帰らせようにもこの時間じゃ危険だ。
とりあえず医者を呼ぼうとナースコールを押した。
「目が覚めたんですね。足の痛みはどうですか?」
俊や周りの患者を気遣っているのだろう、小声で話していた。
「まだ、痛いです。あの、足って……」
「あ、先生を呼んできます。ちょっと待っててください。」
「分かりました。」
俺は俊の寝顔を見て待っていた。
疲れているのだろう。
頭を撫でても起きようとしない。
「調子はどうかな?」
「あ、こんばんは。まだ痛くて。」
「そうか、しばらくしたら治るから。あと、足の状況を説明しとくね。」
「はい。」
「まず、トラックの下敷きになっていたから足の骨が数ヶ所折れていた。そして、アキレス腱がバッサリ……切られてた。今は手術して何とかなってるけど、これ以上は激しい運動は出来ない。」
「え……じゃあ……陸上も……」
声が震える。
こういう事はあまり無い。
久しぶりだ。
「残念だけど……」
「……そんな……」
「ご両親は?」
「母は仕事で……そろそろ帰ってくると思いますが。父は幼い頃事故で……」
「そうか……」
「母には自分から連絡します。あと、その……弟になんか布団とかお願いできますか?これじゃコイツもゆっくり寝れないと思うんで……」
「うん、私達の休憩室を貸すよ。」
「ありがとうございます。」