第14章 僕のお兄ちゃん
結城side
「ほんとに目覚めないのかな……」
この声……誰だ?
目の前が暗くて何も見えないが声や音だけは聞こえた。
暖かい物が俺の手に落ちる……
涙?
泣いてるのか?
涙と分かってなぜか起きないといけない気がした。
俺が起きて、この子の涙を止めてあげないといけない気がした。
ゆっくりと目を開ける……
眩しい光……
久しぶりに感じる空気……
俺は……今まで何してたんだ?
ここはどこだ?
声の聞こえた方を見る。
2人の男がいた。
1人は学生……高校生か?
にしては小さい。
見たことのある制服を着ている。
もう一人は……見たことある。
が、大人か?
誰だ……思い出せ……思い出せ!
すると、2人はキスをしていた。
は?
ちょっと待て…コイツら人前でなにやってんの……
「っ!?ゆ……結城……!?(汗)」
「ん?……っ!和也!?」
全然分かんなかったが……しっかり見ると和也だと分かった。
大人になってる……
じゃあ、こっちの高校生誰だよ……
見たことねぇよな……?
「え……嘘……」
「?」
「兄ちゃん……(汗)」
兄ちゃん?
っ!
「お前……俊か?!」
声変わりしてるし、ちょっと大人になってるし……
全然気が付かなかった……
けどよく見ると俊だ……
「よかった……目覚めたんだね……よかったぁ!!」
急に泣き出し俺に飛びつく。
重い……
コイツこんなに重くなったのかよ……
前と比べ物になんねぇな……
けどまぁ……可愛さは変わってねぇか……
ん?ちょっと待て……さっきキスしてたのって……
「おい、ちょっと待て……お前ら……今キスしてたよな?」
「「っ!」」
2人がギクッっという顔をしたのを俺は見逃さなかった。