第14章 僕のお兄ちゃん
俊side
「俺さ……ずっと俊くんの事好きだ。」
「え……////」
耳元で囁かれる。
優しい声……目……手……
どこか兄ちゃんと重なる。
「初めて泊まりに来た時から……ずっと……どんどん思いが止められなくなってさ。」
「……」
何も言えない。
予想してなかった事に黙り込むしかなかった。
「ほら、覚えてる?約束。」
「約束……?」
「結城以外の他の男には抱かれるなって言ったこと。俺さ、自分であの言葉に後悔してんだ。何であの時カッコつけてあんなこと言ったんだって。自分で分かってる。約束は破っちゃ駄目だって。」
「……和也さん、言ったはずです。」
僕も和也さんを抱きしめ返す。
「兄ちゃんとは兄弟。もう兄ちゃんには恋心を抱かないんです。」
そうだよ。僕と兄ちゃんは兄弟。
そもそも恋心を抱いてはいけない。
「……辛い時そばに居てくれたのも、ずっと側で応援してくれたのも……和也さんでした。」
僕は和也さんから離れ、目を見る。
「だから……僕も和也さんを好きになってもいいですか?」
「……俊くん……うん。もちろんだよ。ありがとう。」
和也さんは僕に再び抱きついた。
こうして僕達は付き合うことになった。