第14章 僕のお兄ちゃん
俊side
和也さんは僕をひとつの部屋に連れてきた。
ここは他とは違って個室……
和也さんがノックを3回して中に入る。
中には兄ちゃんがベッドに横たわっていた。
「兄ちゃん……嘘……」
僕は車椅子から立ち上がったが上手く歩けず這いつくばってベッドに近づく。
「兄ちゃん……兄ちゃん!何で!……僕には『目開けろ』って散々叫んでたくせに……兄ちゃんこそ目開けてよ!ねぇ!」
兄ちゃんに抱き着く。
けど、びくともしない。
後ろから和也さんが抱きついた。
「俊くん……辛いと思うけど……乗り越えないと……ご飯もしっかり食べて、リハビリもちゃんとして、いつこいつが起きてもいいようにしとこ?」
僕の体をさらに抱きしめる。
辛いのは僕だけじゃない……
「俺が付いてるからさ。一緒に頑張ろう?」
「……うん……」
僕は和也さんに車椅子に乗せられ部屋に戻った。