第14章 僕のお兄ちゃん
和也side
医者を呼びに行き、俊くんの元に戻る。
「やだ!離して!!」
「俊!だめよ!あっ!」
俊くんはお母さんを引き剥がしこちらに走ってくる。
やっぱ暴れるか……
結城が居ないことに疑問を持つのは当たり前だ。
俺は俊くんを受け止め暴れるのを止める。
「和也さん!離して!!お願い……兄ちゃんの所……行かせてください……兄ちゃんは?どこなんですか?」
俊くんはボロボロと涙を流し、まだ体が上手く動かないんだろう、膝から崩れ落ちた。
「……俊くん……ベッドに戻ろう?その体じゃまだ動けない。ね?」
「……うぅ……グス……あぃ……」
俺は俊くんを抱えベッドに運ぶ。
俊くんは5日間眠った状態だった。
体中痣だらけで、所々骨が折れていた。
それに栄養失調……脱水……酷かった……
手の火傷の跡は残ったままだ。
医者は俊くんの体の状態を調べた。
その間、俊くんは何を聞かれても黙ったままだった。
体には異常は見られなかったらしいが、これからリハビリをしていかなければならなかった。