第14章 僕のお兄ちゃん
俊side
兄ちゃんが優しく抱きしめてくれる。
どうしよう、涙が止まんないよ……
「うっ……にいちゃん……」
「ごめんな、あの時早く迎えに行ってたらこんな事に……辛かっただろ?」
「うん……でも来てくれたから……いいよ……」
信じて良かった……
絶対来てくれるって思ってたから……
「ここは寒いだろ?早く帰ろう。」
「……」
帰りたいなんて言ったら殺されちゃう……
「どうした?」
「出来ない……帰れない……」
「何言ってんだよ!」
「殺されちゃう……」
「あのな!お前は1人の人間なんだよ!言いなりになってちゃ駄目だ!自由に生きていいんだよ!」
自由に……生きる……
「ほら、分かったらさっさと帰るぞ?」
「……うん……帰る。帰りたい!」
僕は今出せる力を精一杯出して抱きしめた。
「それでいいんだよ。」
ガンッ!!
「っ!?」
ドサ……
え……今何が起きたの……何で兄ちゃん倒れたの?
「俊くん……言ったよね?『帰りたい』って言ったら殺すって……」
「あ……あぁ……」
兄ちゃんは頭をバットで殴られた事が分かった。
頭からは血が出ている。
え?死んじゃったの……?
やだ……
「あぁぁぁ!!兄ちゃん!!起きて!ねぇやだよ!」
僕は男の人に髪の毛を捕まれどこかに引きずられて行った。
「やだ!いったい!!離して!!」
連れてこられた場所は……浴室……