第13章 あと一度だけでいいから……
結城side
俊が行方不明になって3日が経った。
あれから何の変化もない。
「結城……今日は学校行くの?」
「いや、今日も探してくる。」
「そう……」
俺は学校に行かず俊をずっと探している。
朝食を取っていると耳にニュースの音が入ってきた。
『速報です。3ヶ月程前から行方不明になっていた明くんが発見されました。詳しいことはまだ分かってませんが、わかり次第お伝えしていきたいと思います。』
発見……
今までの流れから行くと同一人物か……
ってことは俊も……
っ!!
この子……何か知ってるかも……
俺は「明くん」の見つかった場所に向かった。
道中で救急車とすれ違った……
来た方向から考えると……可能性はあるな。
俺は救急車に付いている病院の名前を覚え追うことにした。
―――――
ここだ……
運ばれていくのが丁度見えた。
その担架を急いで追う。
「待ってください!!」
看護師たちを呼び止めるが無視された。
だが、追いつき手で止めた。
「ちょっと!何やってるんですか!」
「明くん!明くん!!俊は?!俊どこにいるか教えてくれ!頼む!」
意識の無かった明くんがゆっくりと目を開けた。
そして、苦しそうに口をそっと動かし、ポケットから何かを出した。
「しゅ……んくんの……『僕は大丈夫』って……伝えてって……早く……助けないと……」
明くんが渡したのはミサンガと名札……俊のものだ……
明くんは俺に渡すと安心したように……でも涙を流してまた眠りについた。
「早く運ばないと!」
「脈拍数が低下しています!!」
それが明くんとの最初で最後の会話になった。
明くんは熱中症、脱水、栄養失調……かなり酷い状態だった。
あのあと、息を引き取ったそうだ。
苦しかったのに……俺に伝えてくれた。
……何としてでも……俊を助けねぇと……