• テキストサイズ

僕だけが知っているお兄ちゃん 【R18】

第13章 あと一度だけでいいから……


結城side

俊が行方不明になって3日が経った。
あれから何の変化もない。

「結城……今日は学校行くの?」

「いや、今日も探してくる。」

「そう……」

俺は学校に行かず俊をずっと探している。

朝食を取っていると耳にニュースの音が入ってきた。

『速報です。3ヶ月程前から行方不明になっていた明くんが発見されました。詳しいことはまだ分かってませんが、わかり次第お伝えしていきたいと思います。』

発見……
今までの流れから行くと同一人物か……
ってことは俊も……
っ!!
この子……何か知ってるかも……

俺は「明くん」の見つかった場所に向かった。

道中で救急車とすれ違った……
来た方向から考えると……可能性はあるな。
俺は救急車に付いている病院の名前を覚え追うことにした。


―――――


ここだ……
運ばれていくのが丁度見えた。

その担架を急いで追う。

「待ってください!!」

看護師たちを呼び止めるが無視された。
だが、追いつき手で止めた。

「ちょっと!何やってるんですか!」

「明くん!明くん!!俊は?!俊どこにいるか教えてくれ!頼む!」

意識の無かった明くんがゆっくりと目を開けた。
そして、苦しそうに口をそっと動かし、ポケットから何かを出した。

「しゅ……んくんの……『僕は大丈夫』って……伝えてって……早く……助けないと……」

明くんが渡したのはミサンガと名札……俊のものだ……

明くんは俺に渡すと安心したように……でも涙を流してまた眠りについた。

「早く運ばないと!」

「脈拍数が低下しています!!」

それが明くんとの最初で最後の会話になった。

明くんは熱中症、脱水、栄養失調……かなり酷い状態だった。

あのあと、息を引き取ったそうだ。
苦しかったのに……俺に伝えてくれた。
……何としてでも……俊を助けねぇと……
/ 196ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp