第12章 黒い影
結城side
何で俊怒ってんだよ……
店出てからもこっち見ねぇし、話もしねぇし。
ずっと無言で歩いてると目的地に着いた。
「俊、ちょっといいか?」
もう我慢ならねぇ。
「なに?」
振り向かずに応える。
「俊、ごめん。」
「なんで?」
「えーと……その……」
ヤバい、分かんねぇ……
「分かんないのに謝らないでよ。」
やっとこっちを振り向く。
けど、目は逸らせたままだ。
「もう別に怒ってないから。僕が勝手に嫉妬してるだけ。ほら、早く行こ。お腹空いた。」
嫉妬……?
もしかして……さっきの女の人達か……
「うわぁぁぁ!!」
俺は俊の後ろに飛びつき抱きしめる。
「え、ちょ、なに!?////」
「ごめん!ほんとにごめん!」
「だから、いいってば!てか、ここでこんな事止めてよ!勘違いされちゃうから!!」
カフェの前でギャアギャア言い合ってると……
「ん?あ!お前らか!!」
店の中から店員の制服を着た和也が出てきた。
「「え……なんで……」」
俊と言葉が重なる。
「あー、かけ持ちしてんの。秘密ね(笑)」
だからあんま手に入らねぇ割引き券を持ってたのか。
「てかさ、店の前でイチャイチャしないでよ(笑)店内が騒がしくなってるから(笑)仲いい可愛い兄弟がいる!って(笑)」
店内を見るとかなり騒いでいる。
「うわ……」
「まぁ、せっかく来たんだし、入りなよ。俊くんも。今日サービスしてやるよ。」
「え!?本当ですか!?」
「うん、俊くんだけね(笑)」
「おい。」
俺抜きで何話してんだよ。
俺は少しイライラした状態で中に入った。