第12章 黒い影
俊side
視線を感じ目が覚める。
また……
やだ、怖い……
部屋には誰もいないはず。
窓もしっかり閉めた。
「にぃ……ちゃん……」
どうしよ、声が出ない。
どこから視線を感じるのか分からない。
けど、見られてる気がする。
お願い……声出てよ……
「……!兄ちゃん!」
出た!
「っ俊?……どうした……」
寝ぼけた声で兄ちゃんがこっちを振り向く。
「……その……」
兄ちゃんはベッドから降り僕の方に近づいてきた。
「なんかあったか?」
しゃがみこんで僕の頭を撫でる。
優しい柔らかい笑顔で聞いてきた。
「……なんか見られてる気がする……」
すると兄ちゃんは僕のベッドに入り手を握って横になった。
「朝まで一緒に寝てやるよ。こーしとけば安心だろ。絶てぇ離さねぇから。」
「うん。ごめん。」
「謝ることねぇよ。俺は俊の兄ちゃんだからな。守ってやるよ。何かあればすぐ助けに行くし。」
僕はその言葉が嬉しくて思わず抱きついてしまった。
暖かい兄ちゃんの胸に抱かれて僕は眠りについた。
その時、何となく兄ちゃんが何か僕に言った気がした。
よく聞こえなかったけど安心して眠ることができた。