第12章 黒い影
俊side
「俊、治まったか?」
「うん……」
「何があった?」
「お風呂入ってたら……また視線感じて……で、気のせいかもしれないから窓開けたら……知らない人がこっち見て立ってて……」
その瞬間、兄ちゃんが僕の体を触り出した。
「な、なに!?」
「何もされてねぇか?!怪我は?!」
「すぐ逃げてきたから大丈夫だよ。」
「そうか。待ってろ服持ってくるから。体ちゃんと拭いとけよ。」
僕はタオルで冷えてしまった髪を拭いた。
あの時、自然と兄ちゃんが思い浮かんだ。
母さんの方が近かったのに。
「俊、持ってきたぞ。風邪ひくから着ろ。」
「ありがと。」
「顔は見なかったのか? 」
「顔隠してて見えなかった。」
何が目的なんだろう……
「俺も風呂入ってくるけど、一人で平気か?」
「うん、母さんもいるから……」
「なるべく急いで帰ってくるからな。」
そう言って僕の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「うん。」
僕は服を着て兄ちゃんを待つことにした。