第12章 黒い影
俊side
シャワーを頭から浴びる。
温水がいつもより熱く感じるのは気のせいかな……
さっきキスされた感触がまだ残る。
たぶん熱いのは変に期待したからかな。
本当の事を言うとあのまま続けて欲しかった。
もっともっとしたかった。
でもたぶん兄ちゃんは僕のこと思ってやめてくれたんだ。
ほんとに優しい。
よし、早く上がって兄ちゃんといっぱい話そ!
体をもう少し温めるために浴槽に浸かる。
「……ん?」
まただ。
視線を感じる。
窓の方からだ。
こっち側が外から見えないようになってるはず。
よく見ると黒い人影が見えた。
「え……」
いや、気のせいかもしれない……
僕は思い切って窓を開けた。
「っ!!!?」
え、だれ……
黒い服にフードを被って顔を隠してる。
よく顔が見えない。
怖い……
僕は浴室から飛び出し、タオルだけ持って二階に上がった。
「俊?!」
兄ちゃんの元へ走り抱きつく。
「ちょ、どうしたんだ!?まだ体濡れてるし……」
声が出ない。
ただ兄ちゃんに抱きついて安心する事しか出来なかった。
自分でも体が震えてるのがわかった。
そんな僕を兄ちゃんは抱きしめ返してくれた。
濡れてるのに強く抱きしめた。