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僕だけが知っているお兄ちゃん 【R18】

第12章 黒い影


俊side

「ね、まだ?」

「まだ。」

今、ソファの上に兄ちゃんと座りテレビを見ている。
顔を近づけキスを求めてくる。

「いつ?」

「母さんいるでしょ?」

「じゃ、部屋に行こう。」

そう言って手を引かれる。

「母さん、俊に勉強教えてくる。」

えー……





「はい、母さんいないよ?」

「もう、どんだけ欲求不満なの?」

「好きなんだから仕方ないでしょ?」

「……目瞑ってよ。恥ずかしいから。」

兄ちゃんは笑いながら目を瞑る。
綺麗な顔……
これが僕の兄ちゃん。
かっこよくて、優しくて、大人で……でも僕に対しては子供で。
好きだよ。大好き。
けど、駄目なんだ。
もうこれが最後。

「ん……ちょ、兄ちゃん!」

急に押し倒された。
そして、ギュッと力強く抱きしめる。

「い、痛いっ」

「これで最後か……寂しい。」

「……うん、僕もだよ。でも仕方ない事だから。」

兄ちゃんはそのまま動かなくなって僕の耳元で話し続ける。

「俺さ時々思うんだよな。もし、俊と俺が兄弟じゃなかったらなって。そしたら、コソコソしなくていいし、外国行けば結婚できるだろ?」

確かにそうかも。
僕達兄弟じゃなかったらもっと幸せになれてたのかな。
いや……待って……兄弟じゃなかったら?

「ねぇ兄ちゃん。兄弟じゃなかったら僕達出会えないんじゃない?歳が違うし。それに街中で高校生が小学生に声かけてたら周りの目が痛いよ。」

「……そうだな。じゃあ、ある意味兄弟で良かったって事か……」

そうだよ。
兄弟じゃなかったら出会えないし、こんな恋もすること無かった。
良かったのかも兄弟で。

「よし!風呂入ってこいよ!」

「うん。」
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