• テキストサイズ

海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第11章 逃がさねぇよい


 半ば引きずられるように去っていくクザンを、沙羅は唖然と見送った。
 沙羅は知らなかった。
このクザンという男が、今最も海軍大将に近い男として恐れられている中将だとは、夢にも思わなかった。


 その後、モビーディック号に戻った沙羅を待っていたのはサッチの熱烈な抱擁と、それに怒り狂うマルコと、隊長達だった。
「沙羅ちゃん、これからはお兄ちゃんに何でも相談してね?」
「てめぇ、何してやがる!離れろ!」
「ありがとう!サッチ!」
「沙羅ちゃん!!」
感極まったサッチの腕に力がこもる。
「サッチっ、痛い」
「何やってんだい、馬鹿力」
「出航~~~~~!」
イゾウが呆れ、ジョズが笑いながら出航の指示を出す。
サッチの腕から解放され、深呼吸する沙羅をすぐにマルコが引き寄せた。
「沙羅」
「マルコ?」
マルコの真剣な表情に居住まいを正す。
一瞬騒がしかった空気が静まり返る。
瞬間。
「「「お帰り!沙羅(ちゃん)!!」」」
「!!ただいま、・・・皆!!」
沙羅の瞳から涙がこぼれた。
それを拭いながら、マルコが頷くように合図した。
「よっしゃぁ!」
「「「宴だ~~~!!!!!!」」」
あっという間に大宴会となった。
白ひげの元に席を落ち着けた沙羅の元へ、隊長やクルー達も次々に声をかける。
8番隊のナミュールが挨拶に訪れると、恭しく手を取り跪き(ヒザマヅ)沙羅を慌てさせた。
魚人族の彼にとって、海神族の沙羅は特別な物らしい。
その後は、白ひげとゆっくりと話をしていたのだが『沙羅、こっちこいよ!』と一番隊の古参の連中に呼ばれ『グララ~、しょうがねぇ奴らだぁ』背中を押されて席を立った。
腰を下ろした沙羅は何の気なしに辺りを見回した。
「マルコならあっち!」
言われた方向に視線を向ければ隊長達と盛り上がっている。それでも沙羅の視線に気づいたらしく、マルコの目が優しく笑った。
なんとなくほっとした沙羅の耳に次々にクルーが言った。
「鬼のマルコ隊長が・・・」
「あんな顔始めて見た・・・」
「バっカ、あれは沙羅にだけだよ」
「つ~か、沙羅、マルコとどこまでやったわけ?」
「え?お二人ってそういう関係なんすか?」
/ 366ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp