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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第2章 出会い


 白いワンピースに波しぶきが撥ねることを気にすることなく、沙羅は海と戯れる。
そんな沙羅を見守るマルコは、成長途中ながら鍛え上げられた上半身を惜しげもなく太陽にさらしていた。
その横の岩場には、ロイから借りているTシャツが干されている。

 誘われて、いや、正確には強引に引っ張られ、海に入ったマルコは、“始めて出来た友達”だと大はしゃぎする沙羅に、海面を何度も蹴り上げられ、挙げ句の果てには、容赦なく海に引っ張り倒され、びしょ濡れにされてしまった。
『やり過ぎだよい!』と怒ったマルコ。
それでも、俯き加減ではあるがしっかりと謝った後、『友達いなかったからつい・・・』と呟いた声に、
マルコの怒りはあっさりと溶け、変わりに愛おしそうに沙羅の頭を“ぽんぽん”と撫でたのだった。

“妹がいたらこんな感じだろうか”

白いワンピースの沙羅が、太陽の光を受けた波に反射し、マルコは目を細めた。
その時だった。
「あ!」
突如沙羅は小さく声を上げると、マルコの元へ駆けてきた。
その顔には笑顔が、浮かぶ。
「白いおひげのおじさんが来たよ!」
「!」
マルコは辺りを見回した。が、白ひげの姿はおろかモビーディック号すら見当たらない。
すると沙羅は、一人楽しそうに笑い、言葉を続けた。
「今、船が来たところだよ!・・・誰か一人先に“ここ”に来るみたい」
「・・・どんな奴だい?」
マルコは探るように言った。
「わからない、あ、あっちからくるよ!」
「そうか・・・」
“見えてるわけじゃね~のかよい”
予想外の言葉にマルコは首をかしげつつ、沙羅の示した方を向いた。

『マルコ~!!』
 遠くの方から手を振る人物を、マルコは少しだけ嬉しそうに見据えた。
「マルコのお兄ちゃん?」
近づいてくると、マルコよりも頭一つ分、長身の男を見て沙羅は言った。
「あれが兄貴なら、家出するよい」
「おいおい、感動の再会にそれかよ!」
特徴的な髪型の男は、マルコの悪態に軽く突っ込みながら、次いで沙羅を見つめた。
「?・・・あ!初めまして、沙羅と言います」
見つめられた沙羅は、ユエの言葉を思い出し挨拶をした。
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