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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第11章 逃がさねぇよい


 そんなマルコの気持ちを知ってか知らないでか、絶妙なタイミングでビスタが歩み寄る。
「無事で何よりだ」
「ビスタ!」
ハグするように軽く触れ合う。
「沙羅、心配したぞ」
ジョズが大きな手で頭を撫でれば、嬉しそうに目を閉じた。
その様子をイゾウは面白そうに眺め、
ハルタは終始苛立ったまま眺めていた。


 その後、マルコ達に連れられてモビーディックへ向かった沙羅はその足で白ひげを訪ねた。
「今までどこほっつき歩いてたぁ、
家出“娘”がぁ」
沙羅の緊張とは裏腹に白ひげは、開口一番そう言った。
その瞬間、また沙羅の頬を涙が伝った。
その様(サマ)を白ひげは、指先で沙羅の頭をなでながら静かに見守り、気持ちが落ち着くのを待った。
暫しの後、沙羅はぽつりぽつりと話し出した。

ロイとユエの死。
襲った人物の中に海賊だけでなく、海軍も含まれていたこと。
ユエの失われた体を探していること。 
復讐のために、人を殺したこと。

時々、言葉を詰まらせる沙羅に、白ひげは何も聞き返さなかった。
ただ黙って聞き終えた後に、白ひげは言った。
「沙羅、おめぇシキの奴が来た時に言ったことを覚えてるか?」
「・・・!!」
沙羅の脳裏に蘇る記憶。
『俺ぁは白ひげだ、シキだろうが、海軍だろうが、お前ぇには指一本触れさせねぇよ』
「おじ様っ!!・・・」
「なぁ、沙羅、“あの時”は義娘だったかもしれねぇ」
白ひげは、ロイとユエが“生きていた時”とは言わなかった。いや、言えなかった。
モビーディック号の模型が割れた時に、覚悟はしていた。だが、沙羅から告げられた死はあまりにも無残で、あまりにも無慈悲だった。
「だがな、今日からは・・・」
白ひげは、ロイとユエの顔を思い浮かべた。

“悪いな、お前ぇらの娘、貰うぞ!!”

ニヤリと笑った。
「沙羅、俺の娘になれ!!」
「!!おじ、・・・オヤジ様!!」
文字通りぽろぽろとこぼれ落ちる涙を拭おうとした白ひげの指を握ると、沙羅はそのまま堰が切れたように大きな声で泣き始めた。
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