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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第7章 それからの一年


 家族殺しを唯一のタブーとしている白ひげ海賊団。
そんな中で例外として、沙羅にだけは特別なルールがあった。
泣かすな、傷つけるな、怪我をさせるな、要するに大事にしろということだとジョズは、理解していた。
そんな中で、白ひげが珍しく念押したのが海の上で、沙羅の心を強く乱すなだった。
正直、意味がわからなかった。
大事にするとは違うのか?と疑問に思うもそれを口にすることはしなかった。
沙羅には触れてはならない秘密があると感じていたからだ。
その応えが分かったのは、歳三が亡くなる少し前。金獅子のシキが現れた時だった。
恐らくシキの強さを感じ取ったのだろう。
あまりの恐怖に、混乱した沙羅。
それに反応するようにモビーディックが大きく揺れた。
突然の揺れに驚いたジョズ達は、巨大な波がモビーディックに襲いかかってくるのを見た。

“沈没する“

そう思わずにはいられない程の波。

白ひげがグラグラの実の力を発動し、波を打ち消し沙羅を抱きしめた。

『沙羅落ち着きなぁ、俺ぁは白ひげだ、シキだろうが、海軍だろうが、お前ぇには指一本触れさせねぇよ』
すると押し寄せる波は霧散し、モビーディックの揺れも収まった。

ジョズは、あの時甲板にいたクルーは、気がついた。それが沙羅の仕業だと。

それを彷彿とさせる揺れが、今まさにモビーディックを揺らしていた。
「沙羅、力を沈めろ!」
ジョズが呼びかけるも、揺れは収まらない。それどころかますます大きくなる揺れ。
そんなジョズの目を疑うような光景がさらに起こる。
自身を抱え込むように蹲っていた沙羅の体がじわじわと浮き始める。その回りを囲おうと、どこからともなく水が湧き出てくる。

“やべぇ”

このままでは、モビーディックを巨大な波が襲うのは時間の問題だ。そう思った時。
「沙羅!!」
耳慣れた声が部屋に響いた。
ピクリと微かに沙羅の体が反応した。
「沙羅、お琴をずぶ濡れにするつもりかよい?」
「・・・」
沙羅の瞳から涙が一筋こぼれ、ふっ・・・と揺れが収まった。
甲板では、サッチやビスタが拳を突き合わせほっと一息。
万が一に備えて甲板に出てきた白ひげも、小さく笑った。
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