第7章 それからの一年
いつもなら、乗り越えた危機に即座に『宴だ~!!』となるのだが、誰もが何か異変を感じていた。
「船を頼むぞぉ~」
サッチとビスタにそう言い残すと、お琴の部屋に向かった。
部屋に着けば、お琴の手を握ったまま泣いている沙羅と、それを支えながらも自身も溢れそうになる涙を必死に堪えているマルコ。
その後ろで、やはり体を震わせ涙を堪えているジョズ。
「・・・」
白ひげは、悔恨とも取れるような深い深いため息をつくと、絞り出すように言った。
「歳ぃ・・・、
やっぱり来たかぁっ・・・!!」
「「「!!」」」
5月11日、
歳三の亡くなった、その日。
お琴は逝った。
きっと、お琴にはわかっていたのだろう。
一年後の同じ日に歳三が迎えに来ることが。
いや、待っていたのだ。
惚れて惚れて惚れぬいた歳三が迎えに来てくるのを。
そして、歳三に迎えられたお琴は幸せに包まれて、この世を去った。
穏やかで幸せな顔のままに、この世を去ったのだ。