• テキストサイズ

海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第6章 5月11日


 もし、ガイムがハワードの最後を聞いていたならばその動きが何を意図するものか気づいただろう。
「何のまねだ?!」
だが、残念ながらガイムは敗北者には一切の興味が、なかった。
歳三は、ニヤリと海賊らしからぬ笑みを浮かべた。

「強くなるには・・・」

それはガイムに向けた言葉か。

「人生、死ぬまで」

それとも、マルコに向けた言葉か。

「学ばなくては」

「!!」

“斬っっっん・・・”

本能的にガイムが動いた。
歳三の肩に食い込む褐色の蛇の口。
ニタリと開いた口の端から牙が見えた。
その牙から垂れた液体がジュワッと歳三の背中を溶かした。
歳三の体から力が抜けていくことを確認したガイム。
そのまま口を離し、人に姿を戻せば足元に歳三が倒れ込んだ。
「「「歳じぃっ!!」」」
悲鳴が上がった。
ガイムは、目までもニタリと笑わせた。

“殺った”

世界一の剣豪と言われたこともある白ひげ海賊団の副船長を自分が、倒した。
高まる高揚感は、泣き叫ぶ若い女を犯しながら、締め上げ、殺す時の快感にも似ていて、至福の喜びを感じた。
そして、思い出した。
ここにも、若い女がいたことを。
それも、少女の幼さの中に大人の女の美しさを内包した、極上の若い女。
そして、その女に惚れている若い男。
ガイムの目が、再び沙羅とマルコを捉えた。
その時、ガイムは、自身の首の違和感に気づいた。
ギギギィと首だけが、不自然に回る。

ギギギィ・・・

首は
どこまでも、
どこまでも、
回った。


“抜刀術”
ハワードの体がそうなったように、目にもとまらぬ速さで抜かれた剣が、ガイムの首を切り落としていた。
ガイム程の強者であれば、“知っていれば”防げたで、あろう。
だが、学ぶことをしなかったガイムには防ぐことはできなかったのだ。
/ 366ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp