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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第6章 5月11日


 目を疑うような光景が次々と起こる。

これが、

新世界の、

覇を競う者の

高みにいる者の、

極めた者の、

戦いだ。

マルコは目を見張った。
最早、近くに寄ることすらできない。
「歳じぃ・・・」
声を震わせながらも、一瞬足(タ)りとも二人の戦いを見逃すまいと、見つめている沙羅。


 どのくらい、続いていたのだろうか。
ふと、気がつけば歳三の動きが僅かに鈍い。
額には汗が浮かび、顔色に陰りが見える。

“まさか・・・”

マルコがそう思った時だった。
ガイムがまたニタリと笑った。
「どうだ?俺の毒の味は?」
「珍味じゃ、だが、慣れれば悪くない」
そう言った歳三の黒く変化した腕を、滑(ヌメ)りとした水滴のようなものが流れ落ちていく。
強さは歳三が上、だがガイムにはブラックマンバの猛毒という武器があった。
「グククク・・・どんなに覇気で防御しても液体は染み込む・・・グククク・・・」
瞬間、またしても衝撃が生まれた。
何度目かの衝撃の後、二人の動きが止まった。
「死にぞこないのじじいがぁ!」
蛇へと変化しているガイムの腕から血が滴り落ちる。
だが、歳三の荒い息づかいは、尋常ではなかった。
「歳じぃ!」
叫ぶマルコに、歳三はしっかりと頷いた。

“負けはせん”

歳三の思いにマルコは、拳を握った。
この戦いに、割り入ることなど出来るはずがなく、
ましてや、代わることなどできるはずもない。
歳三が負ければ、全員が死ぬ。
にも関わらず、歳三には焦りも悲壮感も、気負いすらなかった。
ただ、ただ全員の命を守りきる、その一念で歳三は戦っていた。

“・・・”

自分もいつかその境地に達することができるのだろうか?
マルコは、その偉大な背中を見つめた。


「ところでお前さん、ハワードがどうして負けたか聞いたのかな?」
おもむろに、動きを止めていた歳三が口を開いた。
その質問にガイムは嘲笑を浮かべた。
「グククク・・・弱者の最後に興味はない、弱かった奴が悪い・・・恨みはねぇ」
すると歳三は『そうか、それはよかった』と笑みを浮かべ、剣を鞘に収めた。
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