• テキストサイズ

海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第6章 5月11日


 マルコが沙羅追い掛けてから数十分が経った。
戻らない二人を見に行こうかとサッチが腰を上げた時、視界に二人がうつる。
「サッチ!ただいま!」
変わらない笑顔に安堵しつつ、ちらりと沙羅の首元を確認する。
マルコを信用していないわけではないが、お互いやりたい盛りの若い男だ。我慢が効かず、ということもあると思ったのだ。
「どこ見てんだよい」
サッチの視線に気がついたマルコに、凄まれ視線を外し・・・そこで、マルコの手にあるものに気がついた。
「お、おい!それ、まさか・・・」
「よい」
そのやり取りに、回りもざわめく。
「本物か?」
「悪魔の実だ・・・初めて見た」
「マルコ、食うのか?」
その言葉に、マルコは歳三を見た。
「うん?儂か?」
「地図を見つけたのは歳じぃだ」
顔には“食べてぇ”と書いてあるくせに、律儀に報告する弟子に笑みがこぼれた。
「ハハハ!海賊が遠慮するな、見つけたのはマルコ、お前だ」
「よい!」
思わず目を細めて嬉しそうに笑ったマルコ。
「帰って何の実か調べるとしよう」
歳三がゆっくりと腰を上げた。

「悪いが、その実は置いていって貰おう」
低く響く声が空間を凍らせた。
マルコ達が視線を向けると、褐色の肌にひょろ長い体の男と、それに付き従う目つきの淀んだ男達が立っていた。

“““!!”””

誰もが、その男が誰か知っていた。

「く、・・・苦害のガイム」
恐怖に体が震えるクルーが言った。
その声にガイムはニタリとへびのようにねっとりとした笑みを浮かべた。
へびのように、というのは語弊があるかもしれない。
百獣のカイドウの腹心。
苦害のガイム。
その能力はおぞましい。
へびへびの実、モデル、ブラックマンバ。
彼は文字通り、高い攻撃力と猛毒をもって逆らう者を苦しめる毒蛇なのだ。
だが、マルコ達も退くわけにはいかなかった。
いや、もし仮に退いたとしても、全員皆殺しにするつもりなのは目に見えている。
ガイムは他人が苦しむ姿を見るのが大好きだった。
特に好むのは弱い者が、苦しみ悶え、助けを乞う姿。
若い女や幼い子なら尚のこと。
マルコは、さり気なく沙羅を背に隠した。
しかし、ガイムはまたニタリと笑った。
「どうやら、本当みたいだな、白ひげに命より大事な娘がいるってのは」
「「「!!」」」
マルコの、いやクルー達の背を冷たいモノが伝った。
/ 366ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp