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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第27章 幸せにおなり★


もちろん、抱きたいと告げたのは、本心ではあるが
すぐにとは思ってもいなかった。

それは
精神的にまだ未成熟な沙羅を慮ってのこと。
そして、もう一つ、
沙羅自身も気がついていないこと。
男と女の営みに対する、
無意識の
嫌悪、
恐怖、
拒絶。
マルコとの行為において、沙羅がそれを示したことはない。
ただ、例えば上陸した島で、
時々、
目にする冷徹な視線、
微細に震える所作、
耳にするらしからぬ言葉、
それらが全てを物語っていた。

“無理もない”

マルコはわかっていた。
ハレム島で見た沙羅の記憶の中にあるロイとユエの死。
それはマルコの歩んできた人生を押してなお、
目蓋の裏に焼き付いて離れなかった。
だからこそ、マルコは決して己の激しい欲望を見せることはできなかったのだ。

“壊してしまう”

繊細で未成熟な心の沙羅を追い詰めてしまうから。
が、今、沙羅は
マルコを男として、大人の男として受け入れ、
自分を女として、大人の女として受け入れ始めたのだ。
恐らく、先ほど赤くなったり、青くなったりしていたのもそれに起因するに違いないと、
マルコは確信めいたものを感じていた。

“さて、どうするかねぇい”

羞恥を感じながらも快楽に抗うことなく、マルコの口づけを、愛撫を享受する沙羅は
例えようのない色香を放つ。
「ッンん・・・ッぁ?!・・・っ・・・」
マルコの舌が沙羅の首をペロリとなめあげれば、元来の少し幼げな高めの可愛らしい声音とアンバランスな色欲に満ちた音吐(オント)がマルコの理性を揺さぶる。

“あぁ・・・、いいよい・・・”

始めてその声を、息づかいを、耳元で聞いた時、マルコは己の体が一瞬で欲情し、激しく興奮したの覚えている。
少女の沙羅を抱くかのような背徳感と
女の、今を生きる沙羅を手に入れた充足感。
以来、沙羅の首や耳はマルコのお気に入りとなっていた。
「ッ・・・ッっウンン!・・・っハァ・・・」
首筋を強く吸い、独占欲を満たす。
マルコが自分に何をしたのか、もうわからない沙羅ではない。
咎めるようにマルコを見れば、蒼い瞳が獲物を捕らえた言わんばかりに見返していた。
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