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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第27章 幸せにおなり★


「・・・」
きょとんとした沙羅の顔。
その表情が数秒後に僅かに戸惑いを表した。
言葉の意味としては理解していても、それがなぜ自分に向けられたのわからない。
そう言わんばかりの表情に、押し殺しきれない欲情が漏れた。
「・・・沙羅」
「?・・・?!っ」
視線を合わせていたはずの、マルコの顔がするりと横に移動した。
「・・・抱きてぇ」
微かに掠れたような低い声。間違いなくマルコの声なのに、何かが違うその声色に体がぞくりとした。
「っ・・・」
驚きと羞恥。
耳に感じるマルコの息づかいから逃れるように、
勢いよく声の方向を振り向けば、意図したわけではないけれど互いの唇が触れた。
「!!・・・っ」
息を飲んだ沙羅の顔が一瞬にして朱に染まる。
血液が沸騰したのではないかと思うほどに、体が熱い。
視界がゆらゆらと揺れた。
「 ~ っ?!」
マルコが何か言っているのが聞き取れない。
霞む視界にマルコの蒼い瞳が見開かれたのが見えた。
何か言わなくては、と思うけれども、今はとにかく熱い。
熱くて熱くて・・・・。





そこで沙羅の意識は途切れた。
「っと・・・」
崩れるように倒れていく沙羅を、マルコは僅かに慌てながら支えた。
どうやら、刺激が強すぎたらしい。
腕に掛かる沙羅の体重が何とも心地好い。
いつもは冷んやりと感じることもある沙羅の体から感じる熱に、マルコの顔が緩む。
これが沙羅以外の女なら、迷惑としか思えないだろう。
無論、今までこんな甘酸っぱいやり取りなどしたことはないし、したいとも思わなかった。
恋人を意識し過ぎて、気を失うことも、一般的には幼い反応かもしれない。
だが、沙羅であればどんな些細なやり取りすらも愛おしい。
むしろ、可愛いすぎて、可愛いすぎて口元が緩みっぱなしだ。
自分でも呆れるほどに、マルコは沙羅が愛しくてしょうがなかった。
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