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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第27章 幸せにおなり★


白ひげに明朝に出ると告げたマルコは、隣に移動してきた沙羅を送り、自身も部屋に戻った。
扉を閉め、ベッドに座る。
瞬間。
堪えていた恐怖と疲労が押し寄せた。
体がじっとりと汗をかき、手が、体が震えた。
手加減した上での覇気、それでさえもあの破壊力なのだ。
強くなればなるほど、白ひげの強さがわかり、己の未熟さが身に沁みる。
『強くなるには・・・』

『人生、死ぬまで』

『学ばなくては』

偉大な師であり、もう一人の父のようだった歳三の言葉。

“まだまだだよい”

深く深く、息を吐いたマルコ。
白ひげの片腕として、知られようとも
不死鳥マルコとして、その名を世界中に轟かせようとも上には上がいる。
それを知っているマルコは、まだまだ伸び盛りの若者であった。




明朝。
まだ、薄暗い夜明け前の頃、
マルコと沙羅はひっそりとモビーディックを離れた。
二人の不在はいずれはゾイドに知られるだろう。
が、できる限りの防御策をしておくことは無駄ではない。
二人の行き先を知るのは白ひげと隊長達のみ。
沙羅の友人でもあり、長の名を冠するシルビアとカレンも詳細は知らずとも、詮索はしない。
頼もしい家族達に、後押しされて二人は計画通りにモビーディックを出ることができたのだった。

「行っちゃったね」
「あぁ」
自らの意思で下りたというのに、小さくなっていくモビーディック号を寂しそうに見送る沙羅。
だが、その気持ちはマルコの中にも確かに存在していて、理解できないものではない。
郷愁にも似たその思いを埋めるように、マルコは沙羅の指に、己の指を絡めた。
「・・・ありがとう、マルコ」
少しの間を置いて、沙羅が小さく囁いた。
「・・・よい」
何でもないことのように返事をしたマルコの表情は、しかし、微かに赤くなり、口元が弧を描いていた。
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