第25章 二つ島~距離~★
次の瞬間、マルコは堪え切れずに笑い出した。
「くっ・・・クク・・・」
「ま、マルコ?!っん・・・っふ・・・」
突然笑い出したと思ったら、いきなり深く重ねられた口づけに沙羅は驚き、翻弄された。
ほんの少し前まで、マルコはいつものように話を聞いてくれていたはずだ。
一体どこに、こうなるきっかけがあったのか。
と、考えようにも、頭が働かない。
「はぁっ・・・ンッ・・・」
酸素を求めても肺に届く酸素は僅かばかり。
代わりに咽を流れるのは自身とマルコの絡み合った唾液。
上顎を舐められ、歯列も舐め上げられ、舌を絡められ、何度も吸い上げられる。
それでいて、不慣れな沙羅を気遣い、舌を絡めたまま、時折離される唇。
「っ・・・っふぁ・・・」
酸欠気味になりながら、沙羅はぼんやりと思った。
呼吸すらままならない自分と比べて、余裕綽々なマルコが何を欲しているのかなど、分かりそうにもない。
「考えごとかい?余裕だねぇい・・・」
「?・・・!っ・・・ッ」
沙羅の口から声にならない声が漏れ出る。
マルコの節くれ立った指が上衣の裾から侵入し、腰、臍辺りをゆるゆると撫でる。
しかもその指先をしっかりと感じられるように、マルコは深く重ねていた口づけを外し、じっ・・・と沙羅を見つめた。
その眼差しは理知的でありながら、多分に欲を含み熱っぽい。
そのあまりの色っぽさと今まさに自身の体に感じるマルコの手の感触に耐えきれず、沙羅が顔を背ければ、露わになる、ほんのり赤く染まった首筋。
マルコの目が一瞬細められ、
次の瞬間、
ペロリと首筋を舐め上げた。
「!!・・・」
息を飲み、体をびくりと震わせた沙羅。
その反応に気づきながら、マルコはその首筋を甘噛みし、唇を這わせ、強く吸い上げた。
「ッン!・・・」
無意識に逃れようと身動ぐ(ミジログ)沙羅に軽く体重をかければ、体格差にその身はあっさりとソファに沈んだ。
「・・・」
左手を顔の横に、右膝を太股の横につき、沙羅に覆いかぶさるように見下ろすマルコ。
一瞬の間(マ)。
右手は相変わらず、腰辺りだ。
その右手がじわりじわり、また動き始める。
ゆるゆると胸が膨らみ始める辺りを、指がなぞる。
沙羅の体が、また微かにぴくりと震える。