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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第25章 二つ島~距離~★


マルコの危険な考えなど、露知らず。
沈黙してしまったマルコを見つめる沙羅の瞳は不安に揺れていた。
もしかしたら、
マルコの求めていることは違ったのかもしれない。
いや、むしろ不快に感じたのかもしれない。
どうしたらよかったのかわからない。
自分が男女のことに疎いことは、自覚している。
マルコは教えてくれると言ってくれたけれど、
やはり自分でも学ぶべきなのかもしれない。
女遊びをしているのを見たことないが、
マルコはそれなりに(実際にはかなり)経験があるようだ。
きっと自分では物足りないに違いない。
そう思い悩み始めていた沙羅にかけられる声。
「沙羅・・・」
今にも潤みだしそうな瞳にマルコの心臓は言い知れぬ痛みを覚えた。
潤む原因は間違いなく自分。
先ほどの行為への嫌悪か、恐怖か。
それとも・・・自分への・・・。

”嫌われたくない”

そう心の中で怯えながらも、それを口にすることはできず。
臆病でずるい自分を嫌悪しながら、表情にも出さず。
マルコは軽く曲げた人差し指で潤む目尻を優しく拭うとじっと沙羅を見つめた。
見つめ返す瑠璃色の瞳に拒絶は浮かばない。
さぐるようにか、
確かめるように、
恐る恐る頬に手を添えると軽く唇を重ねた。
「・・・」
言葉を発しない沙羅に、マルコは再度謝罪を口にした。
「やりすぎた、悪かったよい」
もし、沙羅に拒絶されたら、自分はどうするのだろうか。
心の奥底でどろりとした感情が揺れる。
が、マルコの思いに反して沙羅は『違う・・・』と首を横に振った。
「私・・・マルコに嫌われたくない」
「沙羅?」
「私、頑張るから、べ、勉強するから!」
「は?」
嫌われたくないのは自分なのだが、とマルコは内心驚きながらも一生懸命何かを伝えようとする沙羅を見つめた。
「マルコがして欲しいこと・・・、わかるように・・・」
「・・・ま、待て、何の話だよい?」
「え?・・・その・・・」
「その・・・?」
マルコの問いに顔を薄らと赤く染めた沙羅。
が、この程度の会話で恥ずかしがっていては、マルコの求めていることに応えることはできない。
そう自身を叱咤すると口を開いた。
「さっきの!口の・・・ゆ・・・指の・・・」
が、何と伝えればいいのかすらわからず、言葉を詰まらせた。
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