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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第25章 二つ島~距離~★


沙羅の手がたこ焼きに伸びる。
その狙い定められたであろうたこ焼きを、マルコは横から奪った。
「?」
まだ数はあるのに、わざわざ取りにくい沙羅側のたこ焼きを取ったマルコを不思議そうに見つめた。
マルコの顔に浮かぶ海賊らしい笑み。
その笑みのままに、マルコは沙羅が取ろうとしていたたこ焼きをずいっと差し出した。
「???!」
口元に近づいてくるたこ焼き。
暗に『食べろ』と言われたことに気がついた沙羅は戸惑い気味の笑みを浮かべた。
その困り顔をククッと楽しむマルコ。
マルコの意図がわからない。
たこ焼きとマルコを交互に見つめる沙羅にかけられる言葉。
「口開けろい」
「っ!・・・」
どこか妖しい雰囲気を持つように感じてしまうのは、自分だけだろうか。
でも、目の前には美味しいたこ焼き。
「・・・」
大口を開けるのは恥ずかしい。
少しだけ緊張しながら沙羅は口を控えめに開けた。
無意識に詰めていた息を微かにつき、たこ焼きを口に含む。
たこ焼きをつまみ上げていたマルコの指先に、

沙羅の唇が、

微かに触れた。

その指先を意味深に見つめた後、また幸せそうにたこ焼きを咀嚼している沙羅に倣い、食べ始めたマルコ。
少し後、水を飲みながら『美味しかったね!』と笑顔の沙羅にマルコは笑みを返した。
「?!」
そのいつもと変わらぬ笑みのまま、マルコの親指が沙羅の下唇なぞり口角を拭う。
「ソース、ついてたよい」
「ありがと・・・っ・・・」
気恥ずかしさを感じながらも、お礼を口にした沙羅の口内に口角辺りから侵入してきたマルコの親指。
驚きと羞恥に意図を問うように見つめれば、座っても縮まらない身長差からマルコを睨み上げるようになる。
その挑戦的にも見える視線に、マルコは自身の背中をぞくりと征服欲という名の欲望が這い上がるのを自覚した。
想いが通い合ってからまだ数日。
その間、毎日唇を重ねているが、その先へは進んでいない。
心が欲しいと想っていたのは事実。が、彼女を味見してしまえば己の欲望は止まるどころか、募るばかり。
マルコは自身の親指を沙羅の舌に絡ませた。
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