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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第25章 二つ島~距離~★


 それから三人は、たこ焼きを揺らしながら楽しく帰艦した。

 襲撃以来、船内には隊長の誰かしらがいることになっている。
最もその大半は、ゾイド海賊団への宣戦布告により傘下の海賊やら、縄張りへの対応に追われているマルコなのだが。
そんな多忙なマルコの様子を伺おうと沙羅はマルコの元へと向かった。
コンコンコンとノックすれば『開いてるよい』と、いつもより少しだけ低めの声が聞こえた。
「ただいま、マルコ」
「よい・・・」
近づいてくる沙羅に一度は視線を送ったが、また机に戻される視線。
その様子をさして気にする様子もなく、沙羅はコーヒーを入れ始めた。
いつもはブラックを好むがきっと今はミルクが必要だ。
確認することもなく、濃いめのミルクを入れると沙羅はマルコの邪魔にならないところに置いた。
それから、特に声をかけることなく床に落ちていた書類を拾って、わけていく。
その耳元にかちゃんと陶器独特の音が小さく響く。
「たまにはいいもんだな」
マルコが口を開いた。
そうして、また一口、一口とゆっくりと口に運び終えると、固まった体を解すように伸びをした。
「たこ焼き買ってきたの、食べよう?」
休憩を促すようにソファーのサイドテーブルに置かれたたこ焼き。
マルコの表情が柔らかくなる。
たこ焼き屋を教えたのはマルコだ。
それを信じて行ってくれたも、
お土産を買ってきてくれたことも、嬉しい。
何よりふとした時に、沙羅が傍にいてくれる。
苛立っているつもりはなかったが、まろやかなミルクコーヒーは気持ちが和らいだ。
今までなら、ささくれだった心にも気づかず、クルーには恐々と様子を伺われ、サッチ辺りに絡まれる。
その後は怒りを爆発させるか、苛つく自分に更に苛立ち嫌な気分になるのが常であった。
が、今は、そしてこれからは沙羅が傍にいてくれる。
改めて実感した。
沙羅が一番隊副長になった事。
沙羅と思いが通じあった事。
沙羅と恋人同士になれたのだと。
目の前でたこ焼きを幸せそうに食べている沙羅をマルコは愛しげに見つめた。
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