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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第25章 二つ島~距離~★


そんなグレンの胸中など知る由もない沙羅は無警戒の笑顔を浮かべた。
「お腹減ってるんですか?」
「・・・まぁ、な」
グレンが頭をぽりっと搔きながら、のろのろと立ち上がれば沙羅とシルビアの視線が上がった。
「!生き倒れにしては、いい男じゃない」
本人を前にして堂々と言い放つシルビアの発言は無理もないことだった。
身長は190cmくらいだろう。
僅かに癖のある柔らかな黒髪に、半眼気味の目。
均整の取れた張りのある筋肉質の体。
やや赤みのある黒紅色のハーフパンツに、無造作に羽織られた唐紅色の半袖のシャツから見えるそれは、見る者を魅了する色香と存在感を放っていた。
「・・・ども」
照れるわけでもなく怒るわけでもなく、どちらかといえば流すような返事に、カレンは笑いだし、シルビアは更に興味を増した。
と、響いたグゥ~と言う空腹音。

“腹減ったぁ・・・”

その思いに顔を顰めたグレンの前に差し出された、3つのたこ焼き。
それを持つ手を辿れば顔を見合わせて笑い合う3人の女。
『よかったらどうぞ?』と言う沙羅の声と
『くれんのか?』と言うグレンの声が重なる。
次いで
『沙羅、それマルコ隊長と食べるんでしょ?』と言うシルビアと
『シルビア、それ頼まれてた分・・・』と若干心配そうに指摘するカレンの声。
グレンは暫し、たこ焼きを見つめた。
貰っていい物かよくわからない。
と、カレンが一歩踏み出した。
「食べて?食は生きる元、空腹の人に食べて貰えるなんて幸せだわ」
差し出されたその手先は爪が短く切られ、少し荒れていた。
グレンは今一度、自分を見上げる相変わらず不思議な色の瞳を微かに泳がせた沙羅と、カレンに指摘により少しだけ目を困らせたシルビアと、自分を優しく見下ろすカレンを見つめた。
「・・・じゃ、遠慮なく」
口ではそう言いながらも、遠慮がちにカレンの手からたこ焼きを取ると、その場で一つぱくり。
「ぅんめぇ~!!」
と至福の笑顔を浮かべて去って行った。
相変わらず、背中越しに手を降りながら。
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