• テキストサイズ

海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第25章 二つ島~距離~★


「おめでとう、沙羅」
にっこりと穏やかな笑みを浮かべるビスタの妻、カレン。
「一時はどうなるかと思ったけど、よかったぁ」
ナースのシルビアも口角を上げてにこりと笑った。
そんな二人に少し赤面するも、真っ直ぐに『ありがとう』と言えるのは気の合う友達故。
二人は沙羅とマルコが互いに片想いをし、互いに踏み出せないでいるのをずっと心配していた。
カレンは、夫のビスタに何とかならないか事ある毎に進言し、
シルビアは飲み友達のジョズに『マルコ隊長は不能なわけ?!さっさと押し倒しなさいよ』といつも噛みついていた。
そんな仲の良い三人組は、マルコと両想いになった話をしながら二つ島で大人気のたこ焼き屋に並んでいた。
「買えるかしら」
「あいつ大量に買ったわ」
「私達も大量じゃない?」
残りを告げる数が一気に減ったことに、
焦る様子はなくカレン、
両手に袋をぶら下げてすれ違う男を睨むシルビア。
それを苦笑いで眺める沙羅。
3人が“それぞれに”たこ焼きを買った所で、完売の声が響いた。
その声にガックリと項垂れる者、沙羅達を睨む者、それでも全員が一様に散っていく。
「あら、悪かったわね」
本当に申し訳なさそうにカレンが言えば、シルビアはしれっと『早い者勝ちよ』と先ほどの自分を棚に上げた。
そんな中、沙羅だけが一点をじっと見ていた。
「沙羅?」
シルビアの声が歩き出した沙羅の背中にかけられる。
「あのっ・・・」
少し先で、死んだように大の字に倒れている男の元へ歩み寄った沙羅は声をかけた。
ぴくりとも体を動かさず、男は目を開けた。
「あ、生きてた」
「シルビア、少し失礼よ」
沙羅とその後ろから覗き込む二人をぼんやりと見返す男。
「腹減った・・・」
ぼそっ呟かれた言葉に二人は目を瞬かせ、沙羅は確信を得た笑みを浮かべた。
「やっぱり!お団子の人!」
「・・・?・・・!」
その言葉に、お団子の男、悪魔王ゾイド海賊団のグレンは目を見開いた。
自分を覗き込む女達の中には見知った顔。
不死鳥マルコの女、いや、違ったか。
グレンはイゾウを思い出しながら、仕方なくゆっくりと起き上がった。
辺りに隊長達の気配は感じない、が、ここは白ひげ海賊団の縄張り。
すでに狙われている可能性もある。
/ 366ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp