第23章 二つ島~危機~
「怖かったの・・・」
沙羅は話し出した。
一人で旅をしていた時はもちろん、
白ひげ海賊団に入団してからも、何度も戦闘は経験していた。
だが、自分の肩に誰かの命がのしかかったことはなかった。
いつだって白ひげがいて、マルコがいて、隊長達がいた。
自分の判断一つ一つに、家族の命がかかっている。
そのプレッシャーに、責任に恐怖を感じずにはいられなかった。
同時に、自分がいつもその恐怖から守られていたことに気づいた。
いつでも、いかなる時でも沙羅一人に責任を持たせることのないよう慮ってくれていたのだと気がついたのだと。
沙羅の話を聞いたマルコは、思わず首筋をさすった。
「まいったねぇい」
「?」
その発言に意味がわからない沙羅は、マルコを不思議そうに見つめた。
マルコはその視線には答えずに、笑って流した。
流さずには、いられなかった。
想いを告げたいのは本心。
男として、沙羅が欲しい。
想い、想われたい。
だが、一番隊の副長にしたいのは私利私欲が入っていた。
それが今、変わった。
一番隊隊長として、副長沙羅が欲しい。
己の背中を預け、隊員達の命を預けられる、
副長沙羅が欲しい。
マルコは海賊らしくにやりと笑った。
どんなことをしてでも、
必ず全員を納得させてやる。
もうすでに全員が納得しているとは露知らず。
己の心に強く誓った。