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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第23章 二つ島~危機~


と、そこへゲンパクが顔を出せば、マルコは問いただすタイミングをあっけなく失った。
「おっ!目ぇ覚めたな、どうだ?どっか痛ぇとこは?」
「背中が少し・・・かな?」
「あぁ、暫くは痛むが、治るから安心しな!」
そう言いながら、ゲンパクは視力を確認したり、痛覚を確認したりと医者らしく動き回った。
一通りの確認を終えると薬の説明をし、また他の患者の元へ向かった。
二人きりになった空間に沙羅はやっと、気になっていたことを恐る恐る口にした
「皆は・・・無事?」
「あぁ」
「・・・オヤジ様は?」
「何事もねぇよい」
「よかったぁ」
心底ほっとしたのだろう、安堵の表情に笑みが混じる。
が、マルコは目を細めると不機嫌そうな表情を浮かべた。
「よかねぇよい、傷だらけじゃねぇか」
言いながら、頬のガーゼに触れるマルコに沙羅は苦笑を浮かべた。
「ごめんね、頼りにならなくて」
「そうじゃねぇだろい」
お互いに、約束をしたわけではない。
が、マルコ達が安心して飲めるようにと沙羅がモビーディックにいたのを、マルコが知っていたように、
沙羅もまた、マルコがそれを知っていることを知っていた。
だからこその自責の言葉、
だからこその否定の言葉だった。
「お前ぇのおかげで誰も死なずにすんだ、ありがとよい」
頭をさげたマルコに沙羅は首を横に振ると自嘲の笑みを浮かべた。
「ン?」
マルコは問いただすわけでもなく、ただ小さく相槌のように音を発した。
「・・・・・・」
少しの逡巡。
言葉を探しているのか、それとも話すべきか迷っているのか。
マルコは何も言わずに静かに沙羅を見守った。
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