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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第23章 二つ島~危機~


「・・・」
残されたマルコは、ベッドの横にある椅子に腰をかけた。
こんなに傷だらけになった姿を見たのは初めてだ。
守ると誓った。
頼り、甘えて欲しいと願った。
なのに、肝心な時にいないなんて。
「沙羅・・・」

“すまねぇ”

マルコはガーゼに覆われた右手をそっと両手で包んだ。
ゲンパクの言いたいことはわかっている。
自責をすることが、償いではない。
自分のなすべきことをするのが償いだ。
今するべきことは、襲撃に関わった者、全員を見つけ出し、襲撃の目的を明らかにすること。
そして、襲撃に動揺している仲間達を収め、この海で白ひげ海賊団に手を出せば 一体どうなるかを知らしめることだ。
両手に包まれたその手に誓うように、マルコは額を寄せた。
そのまま暫く、今後どうするか思案していたのだが。

“・・・”

規則正しい沙羅の呼吸音。
時折薫る蓮の香り。
そして沙羅の柔らかい気配。
うつらうつらと、マルコは沙羅のいる空間を泳ぎ始めた。





 白いワンピースを風になびかせた少女が波打ち際に立っている。
沙羅だ。
背を向けた少女の顔はわからないのに、マルコにははっきりとわかった。
あぁ・・・これは夢だ、とマルコは夢の中で笑った。
夢の中の沙羅が『マルコ!』と手を振りながらかけてくる。
その勢いのままにマルコに胸元に飛び込めば、軽い衝撃とともに子犬のようにすりついてくる沙羅。
その感触は、不思議とふわふわ・・・としていて頭や頬、耳や首筋をくすぐられているようだ。
あまりの心地よさに、マルコはうっとりと目を閉じた。

ふわふわ・・・ふわり・・・

『ありがとう・・・マルコ』
耳に届く声は大人になった沙羅のもの。
少女の姿と大人の声のちぐはぐさに、やはり夢だと笑ったマルコ。
ふと、少女の沙羅が、マルコを見上げた。
瑠璃色の瞳を揺らしたその顔は大人の沙羅。
『好き』
小さな小さな囁き声が、マルコの耳を擽った。


”?!”

勢いよく頭を上げればぶつかる沙羅の手の平。
「・・・」
今のは夢、だろうか。
マルコは、じっ・・・と目を覚ました沙羅を見つめた。
どこかぎこちないようにも見える表情に、マルコは言葉を探した。
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