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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第23章 二つ島~危機~


「に、しても凄まじい覇気だな」
いくらものの数ではないとはいえ、ナミュールが到着するまでの僅かな間に、たった一人で千人を超える襲撃者達を一掃してしまったマルコの強さを称えずにはいられない。
ましてや、その後の手腕の鮮やかなこと。
するとハルタが苦々しく笑いながら言った。
「これは・・・納得しないわけにはいかないね」 
あの会議の日、
全員が納得する日はないだろう、と誰もが思っていた。
だが、まさか納得せざるを得ないことが起ころうとは。
14人の隊長が、それぞれの思いを乗せて笑った。
「・・・さぁて、楽しい時間の始まりだ」
何となく、留まってしまった自分たちの足を動かすようにイゾウが言った。
その目には酷く残酷な光が宿る。
「あぁ~あ、きっとあいつら死ぬほど後悔するね」
言葉とは裏腹に笑顔のハルタ。
「サッチ、上手くコントロールしてくれよ」
「任せとけって、情報聞き出すまでは死ねせねぇよ」
サッチの返答に、フォッサは大きなため息をついた。
きっと襲撃した者のほとんどは、覚悟などせずに、白ひげ海賊団を襲ったのだろう。
対するは、白ひげ海賊団の中でも確固たる信念をもち、家族を、そして沙羅を大切に思う者たちだ。
彼らが情報を聞き出すためには、何をするかは言わずもがな。
だが、それも襲撃者達の選んだ道だ。
フォッサはそれ以上、何も言わずに自身の役割を全うすべく歩き出した。



 その頃マルコは、医務室の前で祈るような思いで沙羅の治療が終わるのを待っていた。
背中を酷く打ちつけた際に刺さった金属、家族を守って負った傷、集中した攻撃で負った傷。
命に関わるものではないが、軽くはない状態にマルコは、自身を責めていた。
飲み屋の店員が月蝕を見せてくれなければ、沙羅は殺されていたかもしれない。
殺されなかったとしても、女が敵に捕まればその先は想像に難くない。
海賊稼業がどれ程危険なものか、わかっていたのはずなのに、どこかに慢心があったのだろう。
たらればをつけた所で、おきてしまった現実は変わらない。
それでも、島を歩いていた時の微かな違和感を見過ごさなければ。
せめてモビーディック号の見える場所で飲み会をしていたら。
いや、そもそも白ひげも副長もいない状態で隊長全員の飲み会をしなければ。
後悔せずにはいられなかった。
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