• テキストサイズ

海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第23章 二つ島~危機~


 煙が上がる甲板を不気味な静寂が支配する。
ふと、マルコと視線のあった古参のクルーが沙羅に駆け寄った。
マルコの出現に安堵の笑みを浮かべ、が、背中を走る激痛に顔を歪めた沙羅を支えながら医務室に歩き出す。
そこで、我に返った襲撃者の主犯格らしき男が怒鳴った。
「逃がすなっ!」
その声で我に返った襲撃者達の視線が、沙羅に集中する。
「させねぇよい」
マルコは一歩踏み出した。
たったそれだけの動きに、ほとんどの襲撃者達の動きが、また止まる。
「不死鳥一人だ、ビビるな!」
主犯格の男のまくし立てる声に、数名が声をあげた。
「そうだ!」
「こっちは千人以上いるんだ!」
「やっちまぇ!」
怒号があがり、襲撃者達が一斉に襲い掛かった。
「「「マルコっ」」」
「「「隊長~!!」」」



 次の瞬間、
マルコを中心に爆風のようなものが襲撃者達を、モビーディックを駆け抜けた。
近くにいた者は吹っ飛ばれ、遠くにいた者はその爆風の中心に立つマルコに恐怖した。
「は、覇王色・・・」
「バ、バカ、違うだろ?!」
「ば、化けもんだぁ~」
寄せ集めの襲撃者達は、次々に逃げ出しはじめた。
「逃がすなよい・・・」
回りの仲間達に言いながら、マルコはゆっくりと動き出した。
一歩、
また一歩、
さらに一歩・・・
その歩みに合わせるように、ちろりちろりと蒼い炎がマルコの体を走る。
その姿に、古株の仲間でさえ悪寒が走った。

“相当怒っている”

抑えきれない怒りが、焰のように全身を走っているのだろう。
時折、炎によって歪む姿は、鬼か悪魔か。
どちらにしても、襲撃者達にとってその姿は、恐怖そのものだった。
あまりの恐怖に、
狂ったようにマルコに殴りかかる者も、
我先に逃げ出す者も、
全てを、
マルコは甲板に沈めた。

 海中を弾丸のように泳いできたナミュールが到着するまでの僅かな時間で、マルコは襲撃者達を一掃してしまった。
あっけにとられるナミュールを横目に、マルコは淡々と指示を出す。
イゾウ達が着く頃には、襲撃者達を縛り上げ初め、
後続のサッチ達が来る頃には、襲撃者達をどうするかイゾウ達と話し、
最後のハルタが来たときには、マルコは甲板にいなかった。
その圧倒的な強さと、圧巻の手腕を見せつけられた隊長達は苦笑を浮かべるしかなかった。
/ 366ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp