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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第23章 二つ島~危機~


そして、本来であれば圧倒的戦闘力を誇る沙羅もまた、危機に直面していた。
「っく!」
襲い掛かる拳をぎりぎりで交わすも、風圧に体がぶれる。
襲撃に気づいた時点で、自身の身体能力を上げるべく能力を発動した。
だが、その力がいつもよりも遙かに弱い。
こんなことは初めてだった。
今日は新月ではない。
いや、仮に新月なら能力自体が発動しない。
自分に不安を覚えながらも、仲間の危機だ。
いかない選択肢はなかった。
だが、能力が使えない沙羅は、少し強いだけの海賊だった。
交わしきれない攻撃が沙羅の体を容赦なく襲う。
それでも、逃げない。
沙羅は決めていた。
二度と仲間を、家族を死なせない、と。
怯えて諦めそうになる若手を励まし、
斬られそうになる仲間を庇い、
混乱する仲間に指示を出し、戦い続けた。
「あの女を狙え!」
「殺すなよ、生け捕りにしろ」
文字通り、孤軍奮闘。
気が付けば、沙羅は戦乱の中、最も目立つ存在となっていた。
「沙羅副長~!!」
「沙羅を守れっ」
敵の意図に気がついた者が沙羅を守ろうとするが、劣勢の今、近づくこともままならない。
何より沙羅自身が、それを制す。
「皆、自分を守って!・・・っ!」
敵は、沙羅を守ろうとして逆に隙ができるのも狙っている。
無論、白ひげの娘である沙羅を取引に使う、仮にその価値がなくても慰み者にするか、人身売買にかける算段だ。
恐怖を感じないわけではない。
腕を擦った銃弾が、皮膚を裂き、鮮血が流れる。
一瞬、痛みに顔を歪ませれば視界が狭まる。
と、その僅かな間すら許さず、ブワッと音とともに拳が襲った。
その拳を交わし、然し、共に襲ってきた風圧を交わしきれず沙羅は雑多に積み重ねられた木箱まで吹っ飛んだ。
「っ・・・」
打ち付けられた背中のあまりの痛みと衝撃で呼吸ができない。
「「「沙羅っ!」」」
「「「副長」」」
「捕えたぞっ!」
「っ・・・、~!!」
それでも僅かに起き上がりかけた沙羅に伸びる巨大な手の平。
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