第22章 二つ島~試練~
「・・・?!」
作り笑いのまま、沙羅は固まった。
花びらを掬った手に重ねられたマルコの手。
「沙羅、一人じゃねぇだろうよい」
「!マルコ・・・」
「覚えてるか?秋島で俺が言ったこと」
再会してからいくつかの島に上陸しているが、秋島には一度しか上陸したことがない。
そしてその秋島での出来事は、沙羅の胸の奥で忘れられない思い出として大切に大切にしまわれていた。
一面に広がる燃えるように真っ赤な紅葉の木々と澄み切った秋空の下(モト)マルコから告げられた言葉。
『俺の力が及ぶ限り、俺がおめぇを守る』
「・・・」
今も鮮明に思い出せるその言葉に、沙羅は恥ずかしそうに瞳を伏せながらも頷き返した。
その反応にマルコは“ふっ・・・”と柔らかく笑うと、重ねたままの手を引き寄せた。
「?・・・」
マルコが何をしようとしているのかわからずに、引き寄せられていく自分の手を戸惑い気味に見つめる沙羅。
「俺じゃ・・・」
マルコのゆったりとした声が耳に届く。
「頼りにならないかい?」
マルコの唇の動きが、やけにくっきりと目に映る。
それが、
見つめている自分の手の先にあるからだと気がつくのと、
マルコの顔が、沙羅の手に近づいたのはどちらが先だったか。